元大学院生のノート

心と口と行いと研究で

2/5 卒業研究の振り返り

(あまり研究感はなかったが)無事に卒業研究が終わったので振り返りと思い出をまとめて置こうと思う.

自分は大学に入って物理をしているうちにぼんやりと理論物理学(素粒子)をやりたいと思っていた. 理由は, 僕が物理を学ぶきっかけになったファインマンの専門が素粒子理論だったというのが大きいと思う. 他にも, 僕は宇宙の根本的な原理に興味があったことも大きいと思う.

というわけで, 卒研では素粒子論(弦理論)を主に勉強する研究室に入った. 実際, その研究室の先生のぶっ飛んだ物理の才能とユニークさに引かれたところもある. そんなこんなで卒業研究が始まった. 正直な話, 僕は卒業研究で少しでも研究らしいことができるかと思っていた. しかし素粒子論はそんなに甘くはなかった. 素粒子論を理解するには高度な数学と物理が必要であり, 結局, 自分が卒業研究で行ったのは, 古典的な弦や余剰次元についての考察であった. しかし, どちらも基礎的ではあるが弦理論のエッセンスを多く含んでいるテーマであったので, それなりに計算とその結果を楽しめた.

自分が卒研で何を得たかをここで書くのは難しい. なぜならば, 珍しい経験は少し時間が経ってから振り返って見ないと何も見えないからだ. ただ, 素粒子論の難しさや数学的な地味さを肌で感じることができたし, そして先生のユニークさにはとてもいい影響を受けた.

ここで, 先生の思い出を振り返ろうと思う.

先生はお茶が趣味であったため, 毎回のゼミで(きっと高い)お茶を出してくれた. そして, 締めの時期には, お茶菓子を出してくれたりもした. また, 普通は各自で準備するはずのゼミで必要なテキストのコピー(十数ページ)をsectionが終わるごとに印刷してくれたりもした. 失礼かもしれないが, 僕は先生がこんなに暖かさがある方とは思っていなかった. そして何よりもたまに話してくれる話には知性とユーモアが溢れていた. まるで, 僕が読んだ本の中のファインマンに会っているようだった. ただ, ゼミの発表中にたまに飛んでくるツッコミはまじで怖かった.

結局, 僕は理論物理の道に進むことを諦めたが, この一年で得たことや体験したことは, とても貴重なものばかりであり, この先も自分の中で大切にしていきたいと思う.